下ハン握って、アウターで。

大学時代の愉快なメンバーを中心に、ロードレーサーを縁にまた集まったり集まらなかったりする活動記録

東京ヒルクライムNARIKIステージ

 アンディです。


朝起きるとそこは農道であった。

 

東京ヒルクライム成木ステージ、前泊した僕たちは車中泊というセコくも賢い方法を用いて見事宿泊費を浮かせることに成功した。夜はちょっとしたキャンプ気分で、湿った空気の中カエルと、フクロウだかなんだか、「ホゥ、ホゥ」という鳴き声だけが聞こえるなか満点の星を眺めることができた。酒も飲めたし、

とにかくなかなかグッドな夜であった。

 

さて、冒頭に戻り朝が来た。

僕はあまりの寒さに4時におき、5時におき、それから7時にさなっぺに起こされた。ニノマエは途中一度起きて「車がゴツゴツしてるから何か柔らかいクッションはないかい?」と言ってきたので僕のレーパンを与えた。それ以外はよく眠れたようだ。僕が無意識に放出しているリラックス物質に空気感染したのかもしれない。ちなみに僕のリラックス物質は顕微鏡で覗くと「死のデッキ破壊ウイルス」みたいなビジュアルをしているらしい。

 

 

7時になると太陽が地表と車を温めてくれて非常に過ごしやすい空気を生成していた。昨日は僕たちの車のみであった農道も多くのライダーの車で埋め尽くされ、各々"ご自慢のバイク"を取り出してメンテナンスしたりローラー台に乗って足を温めたりしていた。(ちなみに"お得意のバイク"の反対語は"恐縮の飛行機"ですので、あわせてつかってみてくださいね)僕たちは9時になるや否や受付へ駆けつけ、計測チップとゼッケンと参加賞のボトル+バンダナを受け取る。このボトルはサイクルボトルとは性質が違うので正直自転車に乗っている限りほとんど役にt

ちなみにレース後家に帰って妹にこちらのボトルを見せたところ「夏フェスのグッズみたい」と言われた。確かにフジロックで山登りの格好をしている長髪パーマのマックブックがよく似合う黒縁メガネ男子が腰からぶら下げていそうなボトルだ。

 

脱線ばかりで話が進まない。

とにかく少し早足で説明すると受付をあまりに早く済ませて時間を持て余し、うだうだしたり二度寝していたら開会式に間に合わず、あわてて駆けつけたら250人の集団の最後尾になってしまったじゃないですか。という顛末である。

これだけの人数がスタート地点に並ぶと圧巻だ。いつもそうだけど全員速く見えて挨拶に困る。ところがそんな中でも前に中学1年生くらいの風貌の女の子がロードバイクにまたがっていてこの大会の層の厚みを感じさせた。(後から知ったが60代女性が部門表彰されていたりと健脚の老若男女といた風情であった。)

 

いよいよ我ら最後のグループのスタートが合図された。一斉にみんなが走り出して構える。ニノマエはするすると加速し、僕たちを引くための準備を整えた。

ーとそのとき僕のクリートがはまらない。横を見るとさなっぺもはまらない。二人で片足を浮かせて最後尾で「あっ、あっ」とやっているうちに最後尾から10mほど離されてしまった。要するにひどいスタートであった。

 

呆れるニノマエに追いつき、前半3kmをひいてもらい、その後僕とさなっぺが飛び出した。作戦通りである。5km地点からのねっとりとした坂の連続でぐんぐん人を抜いていく。人を抜くのは楽しい。僕の自転車よりスペックの高い自転車はいくらでもあるのだけれど、そういう自転車を抜くのはとても楽しい。もう少し具体的に言うとティアグラのアルミマシンで、マヴィックキシリウムを履いたオッサンを抜くと「ほらねやっぱり結局練習だよね」みたいな歪んだ自己承認欲求を満たすことができるのである。

 

 

作戦はこうだ。3人チームの合計タイムを競うこのレースでは、去年は1時間50分を切れば入賞は硬い。入賞者には表彰状がもらえる。僕はこれまで表彰状というものをついぞもらったことがないので欲しい。けっこう欲しい。

3人で1時間50分ということは登りが好きな僕とさなっぺが35分を切り、坂が嫌いな(どうして嫌いなんだろう?)ニノマエが40分を切れば1時間50分を切ることができる、という算段であった。

 

 

登りは果たして厳しかった。昨日の段階で下見をして全く同じコースを走った疲労が確実に足に残っている。残っているがコースをぎりぎりまで知らなければならなかったので仕方がない。その足で登るしかない。道中応援してくれる人が多くとても嬉しく力が湧いた。なるべく手をふったりガッツポーズをして応えるように心がけた。

 

最後まで足が残るか不安を感じる中で必死にペダルをまわした。斜度16パーセントは相変わらず嘔吐しそうなくらい厳しかったがとにかく耐えた。他の走者が終わりのない坂に「げえ」とか「うえ」とか言っていたのをみると、試走せずに登っている人も少なくないようであった。倒れたり走れなくなったり諦めてしまった人も多かったときく。とにかく10kmと短いくせにやたらと過酷なレースなのだということはよくわかった。

 

タイムは結局32分44秒だった。35分切れたらなーという目標設定だったので大きく上回ったことになる。さなっぺとニノマエも想像を超えたタイムを出すことができて、それぞれ力を出し切って納得のいくタイムが出せたということだ。

 

 

ところが入賞はかなわなかった。高校生チームが複数参加していて、健康でフレッシュでいっぱい練習している彼らに上の方を独占されてしまい、僕たちはランキング圏外にはじき出される次第になった。僕たちは「自転車に乗っている暇があったら英単語のひとつでも覚えろ」とかひどい言葉をボソボソ口の中でつぶやいた。実際には種も仕掛けもなく僕たちの敗北である。

 

帰りの温泉でも行ったことだが一言で言うなら「試合に負けて勝負に勝った」であった。あったが悔しいので僕たちは来年リベンジしたいです。

 

おしまい